投稿日 2022年08月25日
更新日 2022年09月13日
災害ボランティアのパワーが被災者に届かない
災害ボランティアセンター(ボラセン)を4ヶ所で40日くらい経験して、かなりの数のベテランボランティアさんや被災者から話を伺い、法令や資料も詳細に調べて初心者ボランティアからは抜け出したかなという今日この頃です
あるボラセンのセンター長に「ボランティアの数だけ集まってもダメなんだよ」という話を伺った事があります
それからボラセンの職員に「ボランティアの作業の経験があるか?」「全国社協や関係省庁の資料を読んでるか?」を迷惑にならない程度に聞き取りをしてレベルを確認してきました
当然ですが被災者がしっかり支援されていれば問題はないのです
しかし災害ボランティアセンターの運営のまずさで多くの被災者が取り残されるのを見てきました
ぼったくり業者やボランティアになりすました犯罪の温床にもなりかねません
現場に出ない社会福祉協議会の職員や有識者こそ知って欲しい
マスコミの報じない「災害ボランティアセンターのいろいろ」の話です
「ボランティアに何がわかる」的な態度の職員の方が多いのでちょっと理屈っぽく書いてみました
方言の種類だけ災害ボランティアセンターには違いがある
ボランティアセンターのレベルは小学生から高校生くらい違う
以前この記事にも書きましたが主にボラセンを運営する社会福祉協議会は民間組織で全て別組織です
全国社協や県社協が地域社協を指導する事はありませんので様々なレベルのボラセンが存在します
![南相馬市ボランティアセンター](https://kimama-rakutabi.com/wp-content/uploads/2022/04/IMG_8037-160x160.jpg)
社会福祉協議会の組織をイメージ図にするとこんな感じです
![](https://kimama-rakutabi.com/wp-content/uploads/2022/08/058E19A3-B7F9-4BCF-A271-8B03D04A54DD-1024x536.jpeg)
見てますと県単位では情報交換をしているようですが低いレベル同士が交流してもレベルの違いには気が付かないのが現実のようです
ボランティアセンターの資機材のガイドラインも全国社協は現場経験者を中心に手引き書を作っていますが県になると現場を知らない担当者がレベルダウンさせ市町村社協でさらにレベルダウンなんて事もあります
全国社協の資機材の手引き書(リストは水害)
![](https://kimama-rakutabi.com/wp-content/uploads/2022/08/スクリーンショット-2022-08-23-6.23.35-1024x268.jpg)
![](https://kimama-rakutabi.com/wp-content/uploads/2022/08/480A2CA3-9E5D-434C-B049-81184297B8B6-1024x487.jpeg)
千葉県社協の災害マニュアルになると必要な資材が消えてます
ボランティアにだけ完璧な装備を求めるってどういう感覚?
今どきリヤカーって軽トラをレンタルしてくれよ〜ボランティアだって疲れるんだよ💢
リヤカーが入れるとこだったら大体軽トラも入れるって知らないんですか
また社協の利益優先で経費削減ですか?
![](https://kimama-rakutabi.com/wp-content/uploads/2022/08/FA018A27-251F-4134-AAB6-486716451563_4_5005_c-1024x209.jpeg)
![](https://kimama-rakutabi.com/wp-content/uploads/2022/08/965EA49A-3571-44C5-968A-6DE71571F3F5-1024x639.jpeg)
ある水害のVCでチェックした結果です(◯ 充分あり △あるけど不足 )
ここは一輪車すらない、代わりにバケツリレー方式で運ぶって江戸時代か?
![](https://kimama-rakutabi.com/wp-content/uploads/2022/08/794D1181-C8E6-49E9-92DD-9B0FFFB8E889-1024x518.jpeg)
ベテランボランティアさんは全国の社協を見比べておりボラセンのレベルを判定できるようです
レベルの低いボラセンに改善要望をしてもクレーマー扱いで変わらないそうです
諦めてベテランボランティアさんが自分で用意してた必需品のほんの一部の紹介です
この他に交通費や宿泊代、道具だけでも何とかしてくれませんか( ; ; )
水害の場合には漏電で停電している家が多いので電気の高圧洗浄機があっても役にたたないし照明も点かないので作業に必要な照度もない部屋があるんです
あるボラセンでは
職員に災害ボランティアの作業を経験した方がいないのにびっくり
そして全国社協や総務省や内閣府のボラセン関係の資料を全く知らないのには2度びっくり
これでは資機材を揃えたりボラセンの運営をまともにできるわけがないですね
結局ボランティアセンターは停電だから高圧洗浄ができないなど資機材の不足を依頼を断る事で解決する
道具がないからボランティアの人数が余分にかかり作業が進まないのをボランティア不足と言う
全く被災者に寄り添っていないしそれを見たボランティアが来なくなる
防災訓練でのボランティアセンターの設置訓練は火災のときに消火器で消すレベル
防災訓練で災害ボランティアセンターの設置訓練を行なったりしています、この内容は全国統一されてるように思えます
今は亡き安倍元首相がボランティア役で手を挙げていた映像を思い出します(泣)
この訓練は大きな震災や熊本地震のように災害で社会福祉協議会の職員が多数被災した時などにボランティアがボラセンの運営を支援できるようにする程度で、低いレベルと思います
火災であれば消火器で火を消す訓練レベルで、ベテランボランティアであれば知っている内容ですが現場を知らない学者さんや社協の偉い方は「これが災害ボランティアセンターだ」と思ってる気配があります
![](https://kimama-rakutabi.com/wp-content/uploads/2022/08/スクリーンショット-2022-08-22-12.29.46-1024x931.jpg)
社会福祉協議会の職員は火事で例えれば消防士、消防車を使おうよ
私は社協で消防車レベルの準備を別にやっていると思っていましたが違うようです
下記のことは社協の職員しかやれず事前に現場経験やロープレが必要です
機材の手配(センターの機材・ボランティアの活動資材)
資機材の使い方を知らないと手配できない
余るくらいに手配すれば良いのに逆に足りない
総務省に勤めてた資金に詳しい方から災害では資金は充分使えると聞きましたけどね
現地調査(作業内容・作業人員・作業に必要な資材の調査)
これがマッチングの基本となる重要な資料
正確にできないと正確なマッチングができない
ボランティア作業をした事が無い人が行くのが問題
現在のゼンリンの住宅地図のコピーなんて30年前の効率の悪さ
ゼンリンの地図のコピーって時間がかかるんだよね
ピンポイントで行けるGoogleマップの画面コピー+マップコードにして欲しいね
マッチング(作業とボランティアのスキルと装備をマッチさせる)
今は人数合わせだけで非効率でボランティアが危険
現場の危険度とボランティアの装備(ヘルメットやインソール)
現場の状況(停電ならヘッドランプや投光器)
作業の内容とスキルをを合わせる
被災者との調整(過剰な要望や遠慮しすぎの調整を現調と同時にする)
困っていても遠慮して言えない方も多く現地での助言が必要です
過剰な要望を調整しないとボランティアが納得のいかない手伝いをさせられます
結果ボランティアのモチベーションが落ち2度とやらないという人が出ます
被災者ニーズの掘りおこし(チラシや戸別訪問など)
早めにニーズをプールして効率良くマッチングする
前日や当日の受付をこなしていては効率が悪い
作業ができない日などボランティアの力も借りて実施
ボランティア参加者の時系列推移曲線を理解する
ニーズを早めに掘り起こしてボランティアが多いうちに終わらせる
ボランティアセンターの早期の閉鎖ができ職員の負担軽減にもなる
下記は石川県小松市の2022年8月の水害でのボランティア数の推移です
普段の社協の準備不足で最初のピークで大きなロスが出て最後にボランティア不足を嘆くってよく見ますね
データは全国社協の集計データです
![](https://kimama-rakutabi.com/wp-content/uploads/2022/08/3A7BA83B-4FC3-4AEE-AE59-98B2A269DC3F-1024x624.jpeg)
訓練レベル(消火器レベル)で運営していたVCを経験しました
本来の仕事を知らない、やらないことによって起きたことは
必要な資機材が理解できず足りない、
ボランティアの作業効率が低くなり作業を終われない
被災者の道具を借りて壊す、失くす、汚すがおきた
現地調査をやらない事で
結局ボランティアが判断して被災者に対する「公平性」がない
ボランティアも現地で調整に困り作業が進まない
告知とニーズの掘りおこしの努力がない事で
特に支援が必要な高齢者に伝わらない
口コミなどで知って申込むのでニーズが後半に増える
初期のボランティアが多い時期にニーズが集まらない
ボランティアを返す、または早く返すのでボランティア参加者が減る
後半のボランティアが減った時期にニーズが減らずこなせない
ボラセンがいつまで閉じられず社協の職員の負担が増す
これは全国社協で集計しているボランティアセンター別・日別のボランティア数です
県別で区切りが入ってますがこんな把握しかできてないボランティアセンターにボランティア数推移曲線なんて言っても無理ですね(数字は入ってませんが毎日ボランティアが入ってます)
![](https://kimama-rakutabi.com/wp-content/uploads/2022/08/EA6D15FD-D731-45D7-8DCC-89229FC9E871-1024x662.jpeg)
災害ボランティアセンターの関係者を類型化してみた
災害ボランティア参加者を類型化してみた
![](https://kimama-rakutabi.com/wp-content/uploads/2022/08/C11470AB-D2DA-4ACE-8822-F4C393E22682.png)
1、私のように被災者から見ての災害ボランティアセンターの運営に疑問があり好奇心で参加してる暇人(変人型)
社会福祉協議会の職員に質問や意見をして反応をみてるイヤなやつ
2、政治家やサークルなどが知名度やイメージアップを目的に参加してる(インスタ映え型)
自分が写った被災地の写真をTwitterやブログに投稿してるのが特徴
3、NPOなどボランティアで収入を得ている人達(飯の種型)
代表は使命感があるとしても他は普通の人も多い
4、就職活動などでボランティア活動証明書が欲しい学生さん(欧米か!型)
頑張って良い会社に入ってね
5、組織から有給で派遣されている方(派遣型)
各地に行かれているので作業などに詳しく協力的な方
6、組織から無給で派遣されている方(ボランティア派遣型)
集合写真を撮りたがり、マッチングで一緒になりたがる方達
スキルが同じ人が固まってマッチングがうまく行かない原因にもなる
自分達で4〜5人ずつに分かれてくれてると良いかも
7、とにかく困ってる人を助けたい方(有難いおせっかい型)
一緒にいると温かい気持ちにさせてくれる人達
7、とにかく災害ボランティアをしたい、道具も自費で揃える(ボランティア中毒型)
大きな災害はコンプリートしているなど意識が高く社協には批判的
8、家族の勧めで参加する方(勧められ型)
奥さんに勧められた、親に勧められたなど
9、ニュースなどを見て初めて参加する方(新入社員型)
とりあえず来てみた初心者、ボラセンの対応次第で2度と来ない方
10、意見ばかりでリーダーの言うことも聞かない勘違い人間(迷惑系ボランティア型)
これだけいろんな方がいるので災害ボランティアセンターで管理しなければと思うのは理解できます
ただしたくさん支援したいボランティアと早く支援して欲しい被災者の気持ちは一致してます
社会福祉協議会の職員の類型化
基本的に使命感があり優秀な方で類型化できません
ボランティアセンター職員の心得など決まったものはなく発想や行動は幹部職員に大きく左右されます
通常業務に加えて災害ボランティアセンターの業務が加わってるので大変そうです
災害ボランティアセンターの対応の酷さにボランティアが職員を問い詰めたり罵声を浴びせる場面を見るときがあります、言ってることはボランティアの方が正しいと思う事が多いですが
職員が悪いわけではないのでセンター長や偉そうに講話する幹部職員に抗議して欲しいですね
災害ボランティアセンター長(責任者)を類型化
センター長で被災者支援のレベルが大きく変わるのにセンター長の心得がなぜないのでしょうか
被災者への対応が遅れていても期間がくれば災害ボランティアセンターを閉じるから平気なのでしょうか
1、使命感型(ヒーロー型、英雄型 )
市長にも怯まなかった熊本地震のセンター長など
(体験談は下記リンクから)
熊本市災害ボランティアセンター、セン ター長を務めました中川奈穂子です。 4月 22 日のセンター開設以来、いつもこ のような格好で毎日、ボランティアセンター を運営しています。https://www.jstage.jst.go.jp/article/chihoujichifukuoka/62/0/62_22/_pdf/-char/ja
![](https://kimama-rakutabi.com/wp-content/uploads/2022/08/F626C15C-0D40-4711-B0C1-69A83592247E.png)
2、ヒラメさん型(一般的なサラリーマン、上昇志向型)
業務よりご挨拶やマスコミ対応が優先事項、ボラセンファースト
部下には負担がかかり、ボランティアは効率が悪くなり復旧が遅れる
3、カメさん型(悪いイメージの公務員)
被災者救済よりも無事にボラセンが終わるのが優先で首をすくめて待つ
わからない事に手を出さない(自分ファースト)
被災者の取り残しには興味はない
理解不能な災害ボランティアセンターの現状
ボランティアのパワーを削ぐ災害ボランティアセンター
ボランティアセンターの活動でボランティアの人数を増やせばボランティアのパワーは増します
知事やマスコミに働きかけ報道で告知をしてもらう
県内にボランティアバスを走らす
日本財団などボランティアバスを企画する団体に働きかける
などなど
しかし完全なボランティアセンター運営などできないのでボランティアのパワーを減らすのが現実です
ボランティアのパワーを減らす要素を少なくするという発想も大事かと思います
![](https://kimama-rakutabi.com/wp-content/uploads/2022/08/720F605B-CD86-4ACB-94F0-244205A61A63-1024x499.jpeg)
ボランティアの話を聞かない
ボランティアセンターの職員ってボランティアの意見を聞かないですよね
好調な企業ほどトップが現場の従業員の声を直接聞くという傾向があるとの調査結果がありました
社協の体質ってそれと真逆なんでしょうね
あるボランティアセンターで起きていた事ですが
ボランティアさん達がが「ここのセンターは指示書の内容と現場がしょっちゅう違う」とこぼしてました
センター長が一般ボランティアに「なんか不便な事がありませんか?」などと声を掛ければ良いのですが彼の注意は団体ボランティアさんへの気配りのみでした。
なんとこのセンターは前日のチームが行う完了報告を次の日に全く反映していなかったのです
前日のチームが指示書の作業を完了し、別の作業の継続を報告しているのですがそのまま前日の作業の指示書が継続で使用され、結果作業内容が違うということがシステムとしておきていたのです
ボランティアの話を次の業務に生かす気が最初からなかったのです、結果被災者に迷惑をかける
もしセンター長がボランティアからの聞き取りを心がけていたら起きない事ですね
別のセンターでは
前の日のチームの引き継ぎが次の日のチームに伝わってなかったので社協の職員に「引き継ぎを聞いてませんか?」と聞いたら「聞いてません」とキッパリ言いました
前日にリーダーがかなりの時間を使って社協の職員に引き継ぎをしてたのにです
初心者ボランティアの安全管理に関心がない
「怪我をしないように」と言えば済むと思ってる、作業の危険性を知らないし教えない
全国社協の資料には作業で怪我をしないとか作業のコツとかの資料があります
初心者ボランティア向けにボランティアセンターに掲示するとかしてほしいな、特に腰は一生引きずったりしますよね
![](https://kimama-rakutabi.com/wp-content/uploads/2022/08/BF80E59E-230A-43CA-B18A-5DB95BF5CFA1-1024x284.jpeg)
そしてボランティアと同じような作業をする外国人向けにはこんな映像があります
ボランティアは外国人労働者以下ですかね
ボランティア作業の映像を作って事前に見てもらうように案内すれば良いだけですよね
あるボランティアセンターで「昨日怪我をする事故があったので怪我をしないように注意してください」
と言う案内がありました
会社であれば労災事故で大問題です
せめてどんな作業でどんな状況で起こったか位はボランティアに教えてよ💢
ボランティアの安全を守ために自分達が何をすべきか、なんて発想は社会福祉協議会にはないということがわかる事例です
センター長(責任者)で被災者優先からボラセン優先へ変わる
ボランティアに行くと毎日「ボランティアの心得」を教えていただきます
「ボランティアの心得」は内閣府が有識者の検討会でまとめたものです
メンバーのNPO代表の村井雅清さんがバカらしくて途中で参加をやめたと自著の中で語ってます
一方社協の職員に聞いたらボラセンのスローガンや心構えは聞いた事が無いとのこと
センター長次第で職員の考え方や行動が変わるようですが良いのでしょうか
被災者優先か
災害ボランティアセンターが優先か
ボランティア優先はあり得ませんがボランティアの背中には被災者がいます
そういえば社協の軽トラックよりもボランティア持込の軽トラックを優先して使って社協のトラックを余していたボラセンがありました
社協の利益がそんなに優先されるんですかね
「ボランティアのパワーをそのまま被災者へ」を心構えとかスローガンにしてくれると良いのにね
これだけでボランティアセンターの問題は簡単解決するんです
現在の災害ボランティアセンターは素人が大工を指揮して家を建てようとするものです
設計士(コーディネーター)が欲しいですね
現地調査・・・・・・・社協職員で実施し写真を添付する
コーディネーター・・・現地調査を元にマッチング資料を作る
NPOやベテランボランティアで作業に詳しい方
必要な作業とボランティアの人数、スキル、装備、必要資材の資料を作る
マッチング・・・・・・社協の職員で実施(数合わせはしない)
コーディネーターの資料に従ってマッチングを行う
臨機応変にベテランと初心者を混ぜる
ボラセン内の作業が自分の仕事という勘違いを無くす
社協の職員しかできない仕事を優先し、手が回らない作業はボランティアにもお願いする
常在戦場の心構えで担当者を任命しておく
担当者を計画的に県外の被災地に災害ボランティアとして派遣する
・ボランティアの作業を理解する
・被災者の心理を理解する
・必要な資機材を理解する
・ボランティア側から見たボラセンを理解する
「ボランティアのパワーをそのまま被災者へ」のような行動基準を作成
センター長次第を緩和し職員の力を引き出す
声の小さい被災者が見捨てられることがないように祈ります
最後までご覧いただきありがとうございます
![](https://kimama-rakutabi.com/wp-content/uploads/2022/05/IMG_7990-160x160.jpg)